レンズ越しの君へ
これは恋じゃないって言えるんだ。

「風見さーん。呼んでるよ!」

教室の入り口にいた明日香ちゃんが手招きをしている。

「一ノ瀬君、かっこいい…」

明日香ちゃん、目がハートになってます。

「風見さん、ちょっといい?」

一ノ瀬君の話は文化祭のことだった。

今年も大盛り上がり間違いなしのミスコン。

わたしには縁のない話だけど、なんでも一ノ瀬君、エントリーされちゃったみたい。

しかもダントツで票が集まってるんだとか。

「生徒会の人間が出場してもいいのかな?」

「それなら私がミスコン関係は責任持つよ。一ノ瀬君は他の仕事もあるでしょ?」

「でも、風見さん一人じゃ大変じゃない?」

たしかにミスコンは一番大変な係と言っても過言ではない。

票を集計したり、ステージを準備したり、司会者を頼んだり。

去年の先輩もとっても大変そうだった。

「あ、だったら巧にも頼もうかな。もう自分の仕事終わったって言ってたから。」
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