レンズ越しの君へ
この前のこと。

それはあの花火大会の日のことだ。

告白、されたんだ。

「俺、風見の頑張り屋なとことか、なんでも真面目に一生懸命するとことか、好きなんだ。」

瀬戸口君は私のこと、ちゃんと見て、好きになってくれてる。

きっと付き合ったら楽しいと思う。

話も合うし、瀬戸口君自身も真面目で優しい。

私にはきっと、こういう人があってる。

「風見は優しいから、俺の告白のことで悩んでるなら、早めに決断をしてくれると…俺も嬉しい。」

今日、最後に去っていく後ろ姿を見た。

三つも年下。

女の子にもモテて、きっと人気者。

一緒にいたら心臓が落ち着かなくて、ドキドキしっぱなし。

そして私の生徒。

私は彼の先生。

…私、間違ってないよね。

「…ごめんなさい。」

「そっか…ごめんな、こんな大切な時期に。」

瀬戸口君は何も悪くない。

こんな私のこと、好きだって言ってくれた。

< 61 / 83 >

この作品をシェア

pagetop