レンズ越しの君へ

「でも俺、まだ風見のこと好きでいてもいい？…そんで、受験終わったらもう一回告白したい。」

どうして？

なんでこんな私なんかに？

私は何も言えなくて、ただ黙って頷くしかなかった。


次の日、私は憂鬱を抱えながら教室に入る。

「おはよ、菜穂！」

「おはよう、冴香。」

「菜穂せんせー！ここ教えて！」

園田君のその言葉。

先生、という呼び名に。

また彼のことを思い出してしまう私はおかしい。

絶対に、おかしい。

もう忘れて、ちゃんと勉強しなくちゃ。

いくら模試でいい判定が出てるからって安心してちゃいけない学部なんだから。

「まだ悩んでる？涼太君のこと。」

お昼休み、冴香が言う。

「…そう、見えるよね。」

他人から見てもそう見えちゃうほどなんてやっぱり異常だ。

「もうさ、素直になっちゃえば？菜穂、涼太君のこと好きになっちゃってんだよ。」

私が、涼太君を？