レンズ越しの君へ
だって涼太君は…

「歳とか、関係ないと思うよ。菜穂が好きになったらなら、あたしは応援する。モヤモヤしてても気持ち悪いでしょ。」

冴香の言う通りかもしれない。

こんな時期にモヤモヤしてるくらいなら、サッサと終わらせたい。

これはもう、認めるしかない。

私、いつの間にか涼太君のことが好きになってたんだ。

涼太君は私の知らなかった世界をたくさん見せてくれた。

初めて外したレンズ越しに見えたのは、彼の顔だった。

いつも色眼鏡をしていたから見えてなかった世界。

キラキラ眩しくて、でもそこに行けたことが嬉しかった。

だから、もう一度。

その世界に自分から飛び込んでみるのもいい。

いや、もう誰も手を差し伸べて、こっちだよってなんて言ってくれないから。

私自身が飛び込むんだ。

彼が連れて行ってくれた、あのキラキラした世界へ。
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