レンズ越しの君へ
「ごめんね、涼太君。」

申し訳なさそうに、眉根を寄せて謝る彼女を思い出す。

…かわいかった。

そんな姿も可愛いって思ってしまう俺はもしかしてSなのかもしれない。

「涼太!おつかれ!」

「結奈…」

俺に彼女ができたことを知ってもなお、こうやって普通に腕を絡ませてくる結奈。

あー…先生も同級生だったら。

そうしたら一緒に行事楽しめたのに。

せめて2つ上なら一年だけ被ったのに。

そんなこと考え出したらきりがないのに。

そもそも3つ上だから俺の家庭教師をやってくれることになったんだから。

それがなきゃ、こうして付き合うこともなかった。

「なんか元気ないね、この後遊びに行こうよ!」

結奈は付き合ってた時からこんな感じ。

明るくて可愛いけどなんか違うんだよな。

「俺、先帰る。」

「えー!もう?」

ついてこようとする結奈を振り切り、一人で学校を出た。

先生、今何してんのかな。
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