レンズ越しの君へ
もう模試は終わってるよな。

会いたい。

だってもう一週間も会ってない。

先生も受験が忙しいのに俺の家庭教師はまだ続けてくれてるけどそれだってそろそろ危うい。

大人にならなきゃ。

先生に子供だって思われたくないから。

けど俺は結局まだ中学生で、先生よりも3つも年下。

「涼太君!」

は?

あれ?

俺、疲れてついに幻覚まで見えるようになったのかな。

だって目の前に、会いたくて仕方なかった人がいる。

「涼太君?どうしたの?」

「ほんもの?」

そっと手を伸ばすと確かにそこにいる。

「模試が終わって、待ってたの。涼太君通るかなーって。」

笑顔でそういう彼女。

会いたいって思ってたの、同じだった?

だとしたら、すげえ嬉しい。

「涼太君泥だらけだね。」

俺は自分が組体操や騎馬戦で砂まみれなことを思い出して、慌てて離れる。

絶対俺、汗臭いし、汚い。
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