レンズ越しの君へ
「ごめんね、疲れてるよね、体育会の後だもんね。…ごめんなさい。」

先生が不安そうな顔で俺を見た。

俺がちゃんと話さないから。

勝手に不機嫌になっちゃうから。

だからこんな顔、させて。

困らせてんだ。

違うのに。

俺は嬉しかった。

先生から会いに来てくれたこと。

先生だって模試の後で疲れてるはずなのに、会いに来てくれたこと。

すごくすごく、嬉しいんだ。

「…帰るね。」

「待って!」

俺はその細い腕を掴んでいた。

「…俺、汚いから。」

「へ?」

「今、砂まみれだし汗かいたし、臭いかもしれない…から、先生の近くにいけなくて…」

あー、かっこわる。

「…迷惑なんじゃないの?」

先生がまた不安そうに言う。

「違うよ!…嬉しかった。会いに来てくれたの。」

そう言うとやっと笑う先生。

「あ、ごめん!」

強く掴んでた腕を離す。


「汚くないよ、頑張った証だもん。」


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