レンズ越しの君へ
「菜穂ちゃんだって受験生なのにギリギリまでみてもらっちゃって…感謝しかないわ。」

「そんな…私の受験期間はあんまり来れなかったし、それに今日だってお祝いしていただいてありがとうございます!」

今日はこのあと、涼太君の合格祝いと私の大学の合格祝いを兼ねてのささやかな会をしてくれることになっている。

受験が終わってその日に志歩さんが計画してくれたのだ。

「にしても菜穂ちゃん、さすがね。朝比奈大の医学部なんてすごいわ。」

一足先に国立大学の前期試験の結果が出た。

私は第一志望の朝比奈大学の医学部に合格。

教育学部とギリギリまで迷って、結局理系の知識を活かしたいのと医療系に興味があったので医学部を受験した。

どちらも視野に入れて勉強してたとはいえ、最後の最後まで油断はできなかった。

だから結果を知った時はすごく嬉しくて、思わず泣いちゃった。

そんな私をみて涼太君は笑ってたっけ。

受験だって涼太君がいたから、きっと乗り越えられた。

今度は私が涼太君の合格を見届ける番だ。
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