レンズ越しの君へ
外に出たところで問題は解決しないんだけど。

大丈夫だよ、あんなに頑張ってたんだから…

「あ、先生だ。」

えっ!?

「こんなとこで何してんの?」

いや、それ私のセリフ!

「涼太君!あの…お母さん心配してたよ、連絡するって約束したじゃない…」

「あ、忘れてた。兄ちゃんの携帯借りてたんだ。今する。でもその前に…」

涼太君は私に一歩近づいた。

「…合格、しました。」

良かった…

安心したせいか力が抜けちゃって、その場に座り込みそうになっちゃう。

「先生、何やってんの。」

支えてくれる涼太君の腕がすごく逞しくて、なんだか身長も初めて会った頃よりずっと伸びてて、ああ、高校生になるんだなっておばさんみたいなこと考えちゃって。

「はやく志歩さんに報告しなきゃ!」

「待って、その前にご褒美もらわないと。約束したじゃん。」

え?

まさかあのこと、本当に覚えてたの…!?

「忘れてないよ、俺。」

ニッコリと笑って私の腕を再びがっしりと掴む涼太君。
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