レンズ越しの君へ
急に声のトーンが低くなった涼太君。

もしかして、怒っちゃった…?

「あのっ、嫌とかじゃなくて…」

「いいって。」

声が冷たくて、さっきまで合わせてくれた歩調がどんどん離れていく。

ああ、どうして私ってこうなのかな。

自分が約束したんじゃない。

それなのに、いつまでたってもウジウジしちゃって。

せっかくのお祝いの日なのに、涼太君を怒らせちゃった。

「涼太君!」

私は涼太君の袖を掴んだ。

「目、つ、つむって…」

こうなったらもう、勢いだ!

少し驚いた顔をした後、涼太君は目を閉じた。

長い睫毛、綺麗な顔。

涼太君、目の下に小さなほくろがあるんだ。

そうだ、私いつも先に目を閉じてたから気がつかなかったんだ。

あれ?

なんだか背が足りない…?

そういえば出会った頃よりずっと目線も高くなった。

「まだ?」

よし、がんばれ!!

いけ!私!
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