幼なじみは狐の子。2
4ショッピングモールデート
ある日のこと。
恋と理央と明日香は、昇降口から階段を上がってきて、いつもの通り教室の戸を開いた。
3人は、鞄を置くと、恋の席に集まり直し、喋り始めた。
3人は最初ケーキショップの話をしていた。
そこからたまたま好きなお菓子の話になって、理央がねえ、一番好きなお菓子って何?と聞いた。
恋が口を開いてキャラメルを好きだというと、明日香がええっと驚いた声を出した。
「そんなに意外?」
恋は、きょとんとして聞いた。
「意外っていうか、キャラメルかあ。」
チョコレートを一番好きだという明日香は、ポテチを好きだという理央に、どう思う?と聞いた。
「キャラメルも良いよね。甘さたっぷりで、幸せな気分になる。」
「普通チョコレートだよ。キャラメルってなんかベタベタしたイメージない?」
明日香が続けた。
「っていうか少数派だよ。チョコ好きな人多いもん。」
恋は、キャラメルの何が悪いんだ、と抗弁した。
恋は実はキャラメルが大大大好きだった。
あの色も、匂いも、食べた感じも、全部が好きだった。
ムキになって言い返す恋に、明日香は微妙顔で続けた。
「だって、恋。キャラメルなんかネバネバするよ。」
「ネバネバしないよ。」
恋は怒った顔で言い返した。
「いいやネバネバする。テレビのアンケートでも見たこと事ある。普通はみんなチョコだよ。」
そんなことない、と繰り返した恋に、明日香は呆れ顔をした。
「分かるけどさ。まあまあおいしいけどしつこい、甘さが。甘過ぎて。恋、さっきから、何怒ってんの?。」
恋が、明日香なんかともう口聞かない、と捨て台詞を吐くと、明日香はとても驚いた顔をした。
「えええ、ねえ、恋、何をそんな怒ってんの?」
恋は、明日香を無視して、1人教室を出た。