幼なじみは狐の子。2
「しょうがないだろ。人の好みなんだから。」
宗介の家。
学校から帰って、恋が宗介に明日香の事を言うと、宗介は呆れ顔で言った。
「キャラメルが最高。甘いし栄養あるし、名前もかわいいし。」
「一般的にはお前の言う通り、美味しいお菓子っって言われてるよ。もうちょっと甘さが控えめだったら、僕も嫌いじゃない。」
「みんな何でキャラメルを一番好きじゃないんだろう」
「一番じゃないだけだよ。チョコの方が確かに人気だ。使い道多いし。身近だし。」
宗介はテーブルのお茶を一口呑んだ。
「しょうがないだろ。田山はそういう好みなんだろうし。」
「だからって……」
「別に言いたい訳じゃないけど、キャラメルって甘すぎて、嫌だっていう人も居るしね。諦めな。」
まだ不満げな恋に、宗介は話を変えた。
「そういや、ほんっと腹立つ。学校の壁新聞に、また僕達が勝手に使われてた。記事には僕と樋山の事が恋と絡んで沢山書かれてて、あることないことばっか。どうにかなんない?。新聞部。」
「仮入部の時のやつ?」
「そう。袴を着た写真を載せたかったらしくて、バカでかく引き伸ばされた僕と樋山が映ってた。二人三脚で引っ張り過ぎなんだよ。どうかしてる。」
「確かに。」
「僕は肖像権を主張する。あんな安いゴシップのネタにされたくない。恋も、あんな記事に構うなよ。女子たちは喜んでるけど、男はみんな馬鹿だと思ってるからな。いい加減にして欲しい。何が甘酸っぱい1ページだ、ったく。」
宗介はお茶を一口飲むと今度はこう切り出した。
「そうそう、今度、ショッピングモールを見に行くから、恋、ちゃんと準備しとけよ。」
「ショッピングモール?。何しに?。」
「デートに決まってるだろ。フルーツのアイスクリームフェアをやってるから、お前を連れて行く。今季節だし、名産のシャーベットを食べさせてあげるよ。」
「本当?」
恋は、気分を切り替えて、宗介とまた違う話を始めた。