幼なじみは狐の子。2
そして日曜日。
宗介は、着替えを済ませてからポケットに財布を入れると、ドアを開けて玄関から外に出た。
宗介は、ゲーセンに行きたくなかった。
うるさい所は嫌いだったし、やたらピカピカしているアーケードゲー厶も、宗介には自分に全く関係ないものに思えた。
そうはいっても、恋が行くところには、必ず自分も居なくてはならない、と宗介は思っている。
恋の心を疑う訳ではなかったが、あいつはいまいち曖昧に居るし、僕がしっかり見張っていなくては。
宗介の考えでは、䄭風が行くというならどうしたって自分も恋の浮気防止のために行かなくてはならないのだった。
宗介が待ち合わせ場所の日時計の駅前に行くと、䄭風がもう着いていた。
䄭風は日時計のベンチに座っていた。
䄭風は宗介の姿を見ると、つまらなそうに目を伏せて、無言で持っていたケータイをいじった。
䄭風は何も言わなかった。
宗介は䄭風から離れてベンチに座った。
宗介もポケットからケータイを出し、䄭風を無視して画面に集中する。
「……」
「……」
通り過ぎる人は、誰も二人を知り合いだとは思わなかった。
間もなく向こうの方から恋と理央が連れ立ってやって来た。
「おはよう」
理央が言った。
「珍しい組み合わせの二人組だったね。何を話してたの?」
「何も」
䄭風が言った。
「こいつと話すことなんてない。」
「別に。」
宗介が言った。
「男は黙ってられるんだ。嫌いな奴と居ても、問題なく。」
「ちょっと喋った方が大人かなとも思ったけど、別にに喋る事ないし。上野に愛想まくなら、犬にまいた方がまし。」
「失礼な事言う奴だな。駒井、なんで樋山を誘うんだよ?。樋山なんて誘わなくて良かったのに。」
「僕は新田さんに会いに来たんだ。上野が来るのが悪いんだろ。」
「まあまあ二人とも、今日は和やかに行こうよ。」
笑いながら理央が言って、4人は歩き出した。