幼なじみは狐の子。2
駅前のゲーセンは混んでいた。
賑やかな音楽が響き、近未来的なアーケードゲー厶の画面がきらきらしている。
入口には光る文字で英語の店名が描かれていて、入る時恋はその文字を読んだ。
「あっあれあれ!。」
理央が指した方を見ると、戦隊もののストラップやフィギアやぬいぐるみの入った、大きなクレーンゲームが置いてあった。
「こないだ取れなかった。今日こそは。絶対取ってやるから!。」
理央は腕まくりをしてクレーンゲームに突進した。
「はあ……うるさ。」
「何からする?。新田さん。」
恋は、全然楽しくなさそうな宗介とそれなりに楽しそうな䄭風の間で、店の中をキョロキョロした。
恋は、ふと、理央の隣にあったクレーンゲームに目を留めた。
小さな動物のぬいぐるみのキーホルダーが商品で、大きさは理央のしているクレーンゲームよりずっと小さかった。
恋は、お金を支払うと、ぬいぐるみのクレーンゲームのボタンを押した。
恋は狐のぬいぐるみを狙ってクレーンを動かしたが、最初に引っ掛かったのはライオンのぬいぐるみだった。
恋は、今度はそのライオンを狙ってボタンを押したが、受け取り口に来る前に、ぬいぐるみは倒れて落っこちてしまった。
「下手くそ。」
恋が悔しがっていると、横で見ていた宗介が言った。
「貸して。」
宗介はゲームにお金を払うと、まず両手でゲームに体重をかけてボックスの中をよく見た。
「狐ね。」
宗介は1回目で狐の上にあったパンダを器用に除けると、2回目のゲームで、狐の首の部分にクレーンを動かして持ち上げて近くまで持ってきた。
2回目は受け取り口に来るまでに落としてしまったが、3回目に、さっきと同じ様にしてクレーンを動かし、ついに宗介は狐のぬいぐるみをゲットした。
「ありがとう!」
「はいはい。大事にしなね。」
恋はぬいぐるみを鞄に入れた。
「僕も取ってあげようか。狐。」
䄭風がボックスを見ながら言った。
「一つでいいよ」
「取りやすそうなのがあるから、取ってあげるよ。僕もこういうの得意なんだ。見てて。」
䄭風はゲームにお金を支払うと、ボタンを押してクレーンを動かし始めた。