幼なじみは狐の子。2
恋が䄭風のクレーンゲームを観戦していると、後ろから突然、パシャリ!と音がした。
振り返ると、新聞部の伊鞠と桂香が、私服でカメラを手に立っていた。
宗介が一気に苛立った顔をして、䄭風が呆れた様な微妙な表情をした。
「加納先輩に石巻先輩、偶然ですね」
さっき取ったばかりのストラップを手に、二人に気付いた理央が言った。
「っていうか偶然……ですよね?」
「偶然よう。ここは私達のナワバリ。西中生徒御用達のゲームセンターよ。」
伊鞠が笑いながら言った。
「さすがに休日までは……活動してる事もあるけど、新聞部の仕事はしてないわ。」
「……たまたま」
「本当でしょうね?。さっきの写真返してくださいよ。」
「無理よ。」
宗介が言うと、伊鞠は鼻で笑った。
「偶然とは言えこの新聞部のメインにしている三角関係の良い写真が撮れた。もちろんゲーセン編の記事を作るわ。」
「勝手にしないでください。」
宗介が怒り笑いで言った。
「僕と恋は静かに平和に付き合ってるんだ。学校の新聞なんかで騒ぎ立てられたら迷惑だ。」
「あら、迷惑ってことはないでしょう。」
伊鞠が言った。
「それに上野くん、あなたどう考えても三角関係で、熱い二人きりの恋じゃないわよ。今日も樋山くん居るし。」
「新田さんは、僕と熱い恋人なんで。」
䄭風が笑顔で言った。
「はあ?」
「イコール上野は邪魔な存在なんだ。先輩方、それだけなら報道してもいいですよ。」
「その際は、できるだけ中立で書く事を約束するわ。」
「冗談じゃない。良いですか、書かれるの自体が迷惑なんですよ。僕の写真使わないでください。」
「嫌よ。」
「……写真は販売」
「は?」
「こっちの話よ。裏で上野くんや樋山くんのファン達に飛ぶように売れるのよね。」
「!」
宗介と䄭風は苛立った顔をした。
「勝手にそういう風にしないでください。頭来る。」
「僕自分の写真なんか売らないですよ。死んでも。」
「どういう使い方されるか分からないし。女子たちも女子たちだ。僕には恋が居るのに、狂ってる。」
「迷惑だ。僕の写真で儲けた分何してるんですか。」
「……カメラ代」
「部費にするのよ。」
悪びれもせず言った伊鞠に、宗介と䄭風は怒り笑いをした。