幼なじみは狐の子。2
「時に新田さん」
伊鞠が言った。
「あなたどのゲームが好き?」
「私は……」
クレーンゲームかな、と恋は言った。
「何か取ってあげましょうか。サービスに。」
「……伊鞠器用」
「取らなくていいんで。」
宗介がきっぱり言って、伊鞠達を睨んだ。
「僕達もう帰りますんで、これ以上僕達を追い回さないでください。」
「あら……」
伊鞠は考えるような顔をしていたが、ふいにひらめいたように言った。
「じゃあ、こういうのはどう?」
伊鞠が言った。
「ここにあるゲームで勝負して、あなたが勝ったら追い回すのを辞める。私が勝ったら続けるわ。」
「はあ?」
「私が勝ったらあなた達は新聞部のメインを今年1年務める。写真も売る。そういう約束でどう?」
宗介はぽかんとした顔をしていたが、やがて怒り笑いで言った。
「なんでわざわざそんな勝負しなきゃならないんだ。納得いかない。」
「大体、僕達の肖像権ですよ。」
䄭風が言うと、伊鞠が叫んだ。
「不戦勝!」
「!」
「やらないなら降参と見なして、あなた達の負けよ。さあ、どうする?」
恋達を見下ろして、伊鞠が笑った。