幼なじみは狐の子。2
しんとした教室。社会の授業。
「今度の授業では、グループごとに地域の歴史を辿るレポートを作ります。」
担当の先生が、教鞭を手に、レポートについての説明を進めていく。
「調べるテーマは自由で、最後の授業でグループごとに発表を行います。……グループはくじで決めます。」
説明を聞きながら、恋は、授業の事を考えていた。
恋は、人の前に出てする発表が苦手で、今度の授業もちょっと面倒だな、と思っていた。
とはいえ恋は、気持ちを切り替えると、回ってきた箱からグループ決めのくじを取った。
恋の引いたくじにはBと書かれていた。
黒板の白いABCDEFのBという文字の下に名前を書きに行くと、同じく名前を書きに来ていた宗介とすれ違った。
「僕A。」
すれ違いざま宗介が言った。
「Bだった」
「そう。残念。」
恋は、白いチョークでBの下に新田と書いた。
後ろからやってきた䄭風が黒板を見て言った。
「あ、新田さん、僕もB。」
䄭風の顔がぱっと明るくなった。
「上野は……Aか。良かった。よろしくね。」
「よろしく」
恋は、䄭風に笑いかけると、くじを教卓の箱に戻して席についた。