幼なじみは狐の子。2
隣町の大型ショッピングモール。
昨日、店まで別々でなら、と言うと、䄭風は二つ返事で承知した。
今日恋は、䄭風とフードコートで食事をする事になっていた。
手持ち無沙汰に、ロビーのベンチに座ると、入口のガラスに白いシャツを着た自分の姿が映っている。
間もなくして䄭風がやって来た。
䄭風は白いTシャツに白いパーカーを羽織っていて、歩いてくるところは雑誌モデルか何かの様に見えた。
ベンチの恋の姿を見ると䄭風は大股で歩いて来て、テーブルに屈んでにこっと笑った。
「新田さん、今日は何見ようか。」
䄭風が言った。
「一緒に洋服を見ても良いね。買ってあげるよ。親がフィアンセになら買っていいって言ってるんだ。」
「ええ、いいよ」
「遠慮しないで。僕が買ってあげられるのが嬉しい。新田さんに僕好みの服を着せられるのもね。」
二人はエスカレーターで二階の洋服屋の並びに行った。
「ここ、広くて涼しくて、僕は好き。」
店の並び歩きながら、䄭風が言った。
「新田さんに意地悪言おう。上野と来たことがあるんだってね?」
「うーん、たまに来るよ」
恋は繋いだ手をきまり悪そうにしながら言った。
「ここ、西中生徒のデートスポットだし。」
「確かにね。見るもの何でも揃ってる。映画館もあるし。新田さん、上野と映画見たりする?」
「時々」
「サプライズに、今日は映画でも見ようか。」
䄭風が言った。
「同じものを見るって、カップルの基本だよ。僕最新の映画情報調べて来てる。」
恋と䄭風は最上階のシアターに行った。
頭上に大きな広告があるシアターには、人がほとんど居なかった。
チケットを買って中に入ると、館内は薄暗い。
感動もののストーリーの映画のラストに恋が涙すると、䄭風はくすくす笑って隣から屈んで恋の額にキスした。
䄭風のハンカチを借りて涙を拭いながら、恋と䄭風はシアターを出た。