幼なじみは狐の子。2






 翌朝。

 制服を着て恋が学校に行くと、昇降口の掲示板に人だかりができていた。

 宗介に新聞部には関わらないように言われているので、恋がそのまま掲示板を通り過ぎようとした時だった。

 人だかりから理央と明日香が出て来て、恋の袖を掴んだ。



「恋!」

「理央。明日香。どうしたの?」



 理央は黙って掲示板を指した。

 掲示板にはいつもの壁新聞の他に、一回り小さいサイズの新聞が貼ってあった。

 その新聞を見て恋は世界がひっくり返るほど驚いた。

 『号外』と書かれたその新聞には、フードコートで喋る恋と䄭風の写真が引き伸ばされて貼られていたのだ。

 新聞に文字はなく、ただ激写、と強調するポップがあった。


「恋、駄目だよ。二股は。」


 明日香が真剣な顔で言った。


「揺れてるのは知ってたけど、二人きりで行っちゃったの?」


 理央が聞いた。



「……。」

「あちゃあだね。上野くん怒るよ。」

「あんまりだよ恋、あんなに人気のある上野くんと付き合っておいて。」

「樋山くんも大人気だしね。これは女子にバッシングだなあ。」

「恋、ちゃんと言いなよ、間違いなら間違いだって。」



 恋は呆然として、生徒たちにひそひそ囁かれる中、立ちすくんでいた。

 と、その囁きが一段と大きくなったと思っていたら、後ろから宗介が現れた。


「恋。」







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