幼なじみは狐の子。2
周りの生徒たちがざわつくなか、宗介は首を傾げた。
笑顔で首を傾げるのは、宗介の怒っている時よくする癖だ。
「この写真なあに?」
「えっと……。」
冷や汗をかいた恋が言い淀んでいると、宗介は無言で、恋の顔にかかった髪を片手で耳にかけた。
恋は目を瞑った。
こうなるよなと思ったらやっぱりだった。
宗介は髪を避けた方の恋のほっぺたをパッチーンと音を立てて叩くと、だらりとなった恋の胸ぐらを掴んだ。
「よくも浮気したね。」
宗介は言った。
「この代償は払ってもらう。学校ですっぱ抜かれて笑い者にされて。僕の信用を裏切って。両手に花?。ふざけんなよ。」
宗介は忌々しげに恋の胸ぐらを離すと、呟いた。
「僕に何。ほんと。ほんっと最低。僕はこんなに恋を大事にしてるのに。」
「ごめ……」
「謝るのもむかつく。ほんと腹立つ。大体お前は勝手だよな。人の気持ち踏みにじってへらへらして。やって良いことと悪いことがあんだよ。分かる?。考えたら分かるだろ。」
恋が呆然としていると、宗介が微かに表情を変えた。
宗介は恋に浮気をさせない自信があった。
「どうしてやった?」
「……。」
宗介が短くため息をついた。