幼なじみは狐の子。2
䄭風と恋のデート事件があってから、宗介は不機嫌だった。
宗介は恋と䄭風が話す隙を与えないように、力を入れて見張っていたが、そうはいっても、同じクラスなので、2人は嫌でも顔を合わせてしまう。
教室。朝のホームルーム前。
恋と理央が話していると、䄭風がやって来て、声を掛けた。
「新田さん」
「あ」
「あ、樋山くん」
理央がちょっと首を傾げた。
「新田さんの意気地なし。あの新聞の後から僕とちっとも喋ってくれないんだ。」
「ごめ……」
「樋山」
「あ、上野くん」
後ろから宗介が現れて、䄭風を睨んだ。
䄭風は冷たい表情をしている。
「何」
「……恋に近づかないでくれない?」
宗介が笑顔で首を傾げて言った。
「断る。」
「うざ。断らねーよ。そいつ、」
宗介は恋を指した。
「僕の彼女なんだけど。知っての通り。」
「認めてない。」
「お前が認めるとか認めないとか関係ねーんだよ。僕のものは僕のもの。ちょっかい超要らねーんだよ。」
「……」
「お前、目障りなんだよね。」
しんとした教室の真ん中で、一触即発。
宗介は低い声で、不自然な笑顔を作った。
「宗介……」
「恋、お前は。」
宗介は言葉を切った。
「ふらふらしないの。ビンタ食うよ。この間みたいに。」
「新田さんを殴ってんじゃねーよ。」
䄭風が低い声で言った。
「僕の勝手だろ。うぜえんだよ、お前。」
宗介が䄭風に顔を近づけた。
次は手だ、と恋が目を瞑ったたところで、運良く丁度チャイムが鳴った。