女好きのモフモフ白虎様と✕✕な神子
番外ノ章
番外編①【紋十郎の願い】


白神家当主・白神紋十郎。
紋十郎には子供が5人いる。
長男の小太郎、次男の司、長女の紅葉と次女の楓、そして末の三女、美晴だ。

紅葉が産まれた時のこと。
紅葉の祖父にあたる紋十郎の父親から紅葉の霊力がかなり強いと教えられた。

霊力が強弱くらいは島に住む者なら判別つくので紅葉の霊力が強いのはわかるのだが紅葉の祖父が知る限りはかなりなのだろう。

アヤカシから産まれて間もなく紅葉を番にと打診が何度もあった。
さすがに産まれたばかりだからと断った。

白神家は西ノ島の長を務めているゆえ、屋敷に挨拶やらトラブル、話し合いなどアヤカシが訪れることがある。

白神家にアヤカシが訪れると紅葉は突然大泣きを始めた。双子の楓も紅葉につられて泣いてしまう。
アヤカシを感知したのだろう。

紋十郎と直美は管理している白虎神社の白虎様に「紅葉を守ってほしい」と毎日祈った。

ある時、紅葉を神社に連れて行ったが目を離した隙にいなくなっていた。

離した隙にどうやらアヤカシに襲われたらしい。
アヤカシの中には強い霊力を持つ女性を襲うことで怪我を負わせ、傷モノにし「自分の番だぞ」と印のようなものをする。

紅葉を襲ったアヤカシは紅葉によるとわからないらしいが「髪が長いへんてこな服の人」に助けてもらったと言う。
良心的なアヤカシなのだろうか?
いつか紅葉はアヤカシの番になるだろうがその助けた人とやらの番になら歓迎したいと紋十郎は思った。

襲われてからは小太郎や司が紅葉を守るようになり、アヤカシには襲われたから暫くはそっとして欲しいと伝えるとアヤカシ達も聞き入れた。

紅葉はアヤカシ嫌いの強気でハッキリ物を言う性格になった。
雑で態度や口が悪いのは紅葉なりにアヤカシから身を守るためだろうと紋十郎たち家族は注意しなかった。

中学生になると「そろそろ…」とアヤカシから打診も絶えない。紅葉に迫ったり、トラブルになることや紅葉だと勘違いしたアヤカシが楓をしつこくつきまとったりした。
紅葉は強気な性格でも耐えられず毎日泣いていた。
楓のことなら尚更だ。


島の長女は18歳になるとアヤカシに番としてアヤカシの世界へ行くことがほとんどだ。
しかし紅葉は18になっても番を拒否していたので遂にアヤカシが怒りだした。

そんな時に紅葉から「虎ちゃんの生贄に行きたい!虎ちゃんに食べられたい!!」と生贄を望んだ。

生贄は1年に一度。
早ければ翌日や数ヶ月で何故か返されるらしい。
紅葉も家族も疲弊していたので一時的にアヤカシから離せればと了承し出すことにした。

紅葉を番にと望むアヤカシ達には「紅葉の頭を冷やさせる」と言って黙らせた。



生贄に出した翌日、紅葉は戻って来た。

白虎様を連れて。


白虎様は風雅と名乗り、紅葉は神子になったと。

紋十郎たち家族は安堵した。
神子になればアヤカシは大人しくなるし何かあれば風雅に守ってもらえるだろうと。


相手は白虎様だというのに、あいかわらず強気な態度でヒヤヒヤしたがそこが気に入られたらしい。


父親としては娘を盗られた気分で複雑だが……

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