Unknown
かばんに入れていた持ち歩き用のコスメで軽くメイクをし、昨日と同じ服に着替える。
ある程度身支度が終わりリビングに戻ると、コーダイがソファで優雅にくつろいでいた。
「マネージャーさん、何時頃来てくれるの?」
「ちょい前に呼んだし、もうすぐ着くはず」
「⋯⋯ありがと」
「一応つけといて」
そう言って渡されたのは、黒いキャップとマスク。
芸能人だ、と改めて実感していると、コーダイのスマホが鳴る。
「お。行くか」
「⋯⋯ん」
コートを羽織り、渡されたキャップとマスクをつけて地下の駐車場へと向かった。
「織田(おだ)さんありがと〜」
「うわ、ガチで女のコ連れてる」
「失礼します⋯⋯」
運転していたのは、コーダイと同い年くらいの優しそうなお兄さん。
この人がおそらくアンノンのマネージャーさんなのだろう。
コーダイが後部座席に乗り込むのに続いて車に乗る。
「なに、信じてなかったの?」
「半信半疑だった。⋯⋯あ、住所教えてもらってもいい?」
「あ、はい、ええと⋯⋯」