Unknown



住所を伝えている間に後部座席のドアが自動で閉まり、マネージャーさんがナビを入れ終えるとすぐに出発した。


「コーダイから聞いてると思うけど改めて。アンノンのマネージャーやってる織田です」


「あ、古田 茜です。コーダイ、さん、には、昨日の夜、いろいろあって拾っていただきました」


「ほう。⋯⋯捨て猫?」


「そんなかんじ。まあまあ、細かいことは何でもいーじゃん」


「⋯⋯仕事に支障が出ないなら何でもいいけど」


「出ねーよー」


暗に「週刊誌には絶対に撮られるなよ」ということだろう。


「茜さん、失礼だけど歳は?」


「あ、23です」


「おお、若いな〜。仕事は?」


「え⋯⋯と、⋯⋯昨日、辞めました」


「⋯⋯なるほど」


「捨て猫ってのもあながち間違いじゃねーな」とぼそっと呟いたのが聞こえた。

コーダイは隣でにやにやしている。何が楽しいのだろう。


< 27 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop