Unknown
住所を伝えている間に後部座席のドアが自動で閉まり、マネージャーさんがナビを入れ終えるとすぐに出発した。
「コーダイから聞いてると思うけど改めて。アンノンのマネージャーやってる織田です」
「あ、古田 茜です。コーダイ、さん、には、昨日の夜、いろいろあって拾っていただきました」
「ほう。⋯⋯捨て猫?」
「そんなかんじ。まあまあ、細かいことは何でもいーじゃん」
「⋯⋯仕事に支障が出ないなら何でもいいけど」
「出ねーよー」
暗に「週刊誌には絶対に撮られるなよ」ということだろう。
「茜さん、失礼だけど歳は?」
「あ、23です」
「おお、若いな〜。仕事は?」
「え⋯⋯と、⋯⋯昨日、辞めました」
「⋯⋯なるほど」
「捨て猫ってのもあながち間違いじゃねーな」とぼそっと呟いたのが聞こえた。
コーダイは隣でにやにやしている。何が楽しいのだろう。