Unknown
「マネージャーさんは、おいくつですか?」
「27。コーダイらと同い年だよ」
「そうなんですね!」
「おれらのファンだったらしーよ」
「そうそう」
「へええ!それで今一緒に働けてるってすごい⋯⋯」
「運が良かったんだよなー」
思わぬエピソードを聞くことができた。
「コーダイ、今日スタジオ行く?」
「行くー」
「了解。ついでだし送るわ」
「やった」
「ていうか春のツアーでさ⋯⋯」
そのうち、アンノンの仕事関係の話題になったので、私は息を潜めてぼーっと外を見る。
外から後部座席の様子が見えないよう窓が黒くなっていて、なんだかモノクロの世界に来た気分。
だんだん見慣れた建物が増えてきて、家の近所なのだと察知する。
「あ、この辺で⋯⋯」
「いける?じゃあそこの路地入るわ」
「準備できたらおれに連絡して」
「わかった、ありがとうございます」
車通りの少ない道に入ってもらい、コーダイが外から見つからないよう素早く下車した。