ちょっとだけ、ほろ苦い
そんなことは言える訳もなく。



でもたまに楓さんといると、好きって気持ちが抑えられなくなる。




今まで「推し」だと思っていたのに少しずつそれが変わっていく。



いっそ、伝えた方が楽なんじゃないかと思ってしまうくらい。



このときめきが、毎週どんどん増えていってまるで魔法にかかってしまったみたい。



この気持ちが何なのか未熟な私にはまだ分からなくて、私たちの関係が動き出すことを願ってしまっている私もいる。



この気持ちは関係なく、楓さんは私の「推し」であることも確か。



でも今、この気持ちを言葉にしてみたい。



楓さんに。



カフェオレはあと少ししかなく、これを飲み終わったら帰らなきゃ行けない。



飲みたくない。



「美味しくなかった?」



美味しくないわけない。



だけど、これを飲んじゃったら次に楓さんに会えるのは再来週。



もっと彼と長い時間一緒にいたい。



辺りは少しずつ暗くなって、閉店の時間が迫っている。



あぁ、今日も閉店ギリギリまでいることになっちゃいそう。



周りにいたお客さんたちはもう帰っていってしまってお店には私と楓さんの2人きり。
< 8 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop