Fixing a Broken Heart【大幅修正版】

　マドレーヌを冷めた紅茶で流し込むと、
「今日はそろそろ失礼するね」
　何故か落ち着かなくて、立ち上がった。
「あずなちゃん」
　さり気なく、それでいて強い力で腕を掴まれる。
「何⋯⋯？」
「本当にごめん。あずなちゃんのほうから話してくれる気になるまで、僕からは何も言わないつもりだったのに⋯⋯。でも、これ以上は何も聞かないよ」
　無理に笑顔を作ってみせると、家まで走って帰った。
　冴木さんの前で、無意識に淋しそうな顔をしていたなんて⋯⋯。
　何も淋しいことなんてあるわけがない。
　いくら、一度は幼い心をズタズタにされたとはいえ、あれからもう３年以上経っているのに。
　冴木さんの前で、無意識に淋しそうな顔をしていたとしたら、普段の私は、祖母の前でもそうなのだろうか。
　両親にとって“ただ邪魔なだけの子”を引き取ってくれた恩人なのに⋯⋯。