Fixing a Broken Heart【大幅修正版】
「これが、私のつまらない話。ごめんね?こんな⋯⋯」
 顔を上げると、冴木さんは瞳を濡らしていた。
「冴木さん、どうして泣いてるの?」
「僕のほうこそごめん。てっきり、僕と同じように、事故でご両親を亡くしたのかと思い込んでたけど、死別するよりずっと辛いよね⋯⋯」
 冴木さんも、初めてご両親のことを打ち明けてくれた。
「僕なんかじゃ、力不足なのはわかっているよ。でも、あずなちゃんの力になりたい。だから、何でも言って欲しいんだ」
 私より大人の男の人が、私のために泣いてくれた。
 本当は、それだけでも充分だったけれど、
「じゃあ、冴木さんにしかできないお願いをしていい?」
「勿論だよ」
「何でも修理することが出来るのなら⋯⋯私の心を修理して欲しいの」
 冴木さんの手を取ると、自分の心臓に当てた。
「他の人じゃ直せないの。お願いできる?」
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