Fixing a Broken Heart【大幅修正版】

「今まで以上に、全力投球するよ」
　私たちは、泣き笑いのように微笑み合ったが、ふと、自分の行動にギョッとしてしまう。
「ごめん！なんか、痴女みたいなことして、恥ずかしい⋯⋯」
　慌てて、自分の胸に当てた冴木さんの手を離した。
　冴木さんもまた、慌てて両手を引っ込めると、後ろ手を組む。
　照れながら、私たちはまた笑った。

　これが、私たちの恋の始まり。
　冴木さんのお店に入り浸るだけでなく、デートもするようになった。
　一度、本音を伝えたことがある。
「私、冴木さんのことが好き。でも、恋愛に対してどうしてもネガティブな気持ちが強すぎて、あなたに相応しい恋人になれる自信がないの」
　私の気持ちを理解してくれている冴木さんは、強引なことは決してしない。
　手を繋いだり、そっとハグしたり、今はまだそれだけ。
　それでも――だからこそ、なのかもそれないが――心の底から満たされている。