ぼくらは群青を探している
『なにそれ、じゃあ三国シェフの気まぐれランチだ。気まぐれランチうまいな』

 他にも、おまんじゅうを頬張りながら髪を引っ張る桜井くん、嬉しそうに楽譜を捲る桜井くん、ソファでうたた寝をする桜井くん、中華スープを作る桜井くん、洗い物をする桜井くん……。頭にはたくさんの写真が保存されている。

 新庄の写真を上書きすることはできないけれど、新庄が私の心臓に冷や水を浴びせ続けたのだとしたら、桜井くんは暖かい毛布で包んでくれた。半分合わせた両手で、鼻と口を覆う。

 このまま、休日のお昼にたまに桜井くんと雲雀くんと一緒にご飯を食べるだけのような、そんな日ばっかりならいい。


『続きはまた今度ねえ』


 続きも今度も、来なければいい。

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