ぼくらは群青を探している
ああ、連絡がつかないのね……。この間も雲雀くんに待ちぼうけを食らわせる羽目になったことだし、確かに買ったほうがいいんじゃない、とは私も思っていた。
「でも雲雀くんと一緒にいるじゃないですか。雲雀くんに電話かければいるんじゃないですか?」
「面倒くせーだろ、なんでいちいち雲雀に連絡しないといけないんだよ」
「まあそれはそうですね」
「で、三国、今日集会すっから放課後あけときな」
……集会? 意味がよく分からずに首を傾げた。全校集会なら月一でやってるけど、蛍さんのいう集会とはなんだ。
まさか群青の集会? 眉を顰めただけで、能勢さんには私の思考が読めたのだろう、「永人さん、それじゃ三国ちゃんは分かんないですよ」とちょっと笑った。
「あのね、大体月に一回、集会やってるんだ。っていっても、やり始めたのは永人さんだけどね」
「……いや、そうだとして、何するんですか? 風紀検査するわけでもないのに……」
「んなことしたら、お前と芳喜以外は全員アウトだな。月一で報告会やってるってだけだ、一ヶ月も経てばどこが喧嘩売ってきただの、新しいチームができただの、なんか報告することはあるからな」
確かに、学校の全校集会だってそんなに毎月話すことなんてないはずなのに毎月あるし、そしていざ開催していみると、自分とは関係がないとはいえ、部活動だの学校行事だの、なんらか報告することはあるものだ。群青の集会というのもそんなものかもしれない。
「……その集会ってどこでやってるんですか?」
「青海神社」
「……神社?」
「神社ってほら、神聖な感じすんだろ。神に守ってもらえそうな」
……だから、なんなんだ? むしろそんなところに不良がたむろしているなんて罰当たりな気がした。喧嘩に勝てますようにとお祈りしたって、まともな神様なら喧嘩両成敗だと一蹴してしまうような……。
蛍さんはそのまま空いている椅子に腰かけ「つか三国、お前、頭良いんだよな?」とおもむろに妙なことを言う。なんなら、それだけ切り取れば〝妙なこと〟でしかないのだけれど、蛍さんに不信感にも似たものを抱いてしまっている今、そう聞くことが何の意味を持つのか考えてしまう。
「……急になんですか」
「いや、確認しとこうと思って。中間どうだった」
「一番でしたけど普通科と特別科が別れてるのでそれ自体に意味はないかと」
「よし、問題ねーな」
何が……? 話が通じたのか通じなかったのか、中間試験の順位が蛍さんにどんな意味を持つのかも分からない。
「……それがどうかしたんですか――」
「ねー、昴夜ぁ」
尋ねようとしたところに、また教室の扉が開いた。なんだか桜井くんがよく呼ばれる日だ。
そして、桜井くんを名前で呼ぶ女の子なんて牧落さんしかいない。入ってきた牧落さんは、この教室に入るのが許されないはずがないと言わんばかりの存在感を放ちながら入ってくる。その存在感自体は蛍さんと同じなのだけれど、蛍さんが「なんか文句あっか」とでも聞こえてきそうな態度で入ってくるのとはまた違って、牧落さんが歩いていると「むしろ歓迎されてるよね!」と聞こえてきそうだった。
その牧落さんは「あれっ、いない。ねー、三国さん」と私に近寄ってきて、蛍さん達の存在に気が付き目を丸くした。
「……なんで二年と三年? 知り合い?」
「まあ……」
「なんだ、桜井のヤツ、彼女いんのか? 生意気だなアイツ」
「でも雲雀くんと一緒にいるじゃないですか。雲雀くんに電話かければいるんじゃないですか?」
「面倒くせーだろ、なんでいちいち雲雀に連絡しないといけないんだよ」
「まあそれはそうですね」
「で、三国、今日集会すっから放課後あけときな」
……集会? 意味がよく分からずに首を傾げた。全校集会なら月一でやってるけど、蛍さんのいう集会とはなんだ。
まさか群青の集会? 眉を顰めただけで、能勢さんには私の思考が読めたのだろう、「永人さん、それじゃ三国ちゃんは分かんないですよ」とちょっと笑った。
「あのね、大体月に一回、集会やってるんだ。っていっても、やり始めたのは永人さんだけどね」
「……いや、そうだとして、何するんですか? 風紀検査するわけでもないのに……」
「んなことしたら、お前と芳喜以外は全員アウトだな。月一で報告会やってるってだけだ、一ヶ月も経てばどこが喧嘩売ってきただの、新しいチームができただの、なんか報告することはあるからな」
確かに、学校の全校集会だってそんなに毎月話すことなんてないはずなのに毎月あるし、そしていざ開催していみると、自分とは関係がないとはいえ、部活動だの学校行事だの、なんらか報告することはあるものだ。群青の集会というのもそんなものかもしれない。
「……その集会ってどこでやってるんですか?」
「青海神社」
「……神社?」
「神社ってほら、神聖な感じすんだろ。神に守ってもらえそうな」
……だから、なんなんだ? むしろそんなところに不良がたむろしているなんて罰当たりな気がした。喧嘩に勝てますようにとお祈りしたって、まともな神様なら喧嘩両成敗だと一蹴してしまうような……。
蛍さんはそのまま空いている椅子に腰かけ「つか三国、お前、頭良いんだよな?」とおもむろに妙なことを言う。なんなら、それだけ切り取れば〝妙なこと〟でしかないのだけれど、蛍さんに不信感にも似たものを抱いてしまっている今、そう聞くことが何の意味を持つのか考えてしまう。
「……急になんですか」
「いや、確認しとこうと思って。中間どうだった」
「一番でしたけど普通科と特別科が別れてるのでそれ自体に意味はないかと」
「よし、問題ねーな」
何が……? 話が通じたのか通じなかったのか、中間試験の順位が蛍さんにどんな意味を持つのかも分からない。
「……それがどうかしたんですか――」
「ねー、昴夜ぁ」
尋ねようとしたところに、また教室の扉が開いた。なんだか桜井くんがよく呼ばれる日だ。
そして、桜井くんを名前で呼ぶ女の子なんて牧落さんしかいない。入ってきた牧落さんは、この教室に入るのが許されないはずがないと言わんばかりの存在感を放ちながら入ってくる。その存在感自体は蛍さんと同じなのだけれど、蛍さんが「なんか文句あっか」とでも聞こえてきそうな態度で入ってくるのとはまた違って、牧落さんが歩いていると「むしろ歓迎されてるよね!」と聞こえてきそうだった。
その牧落さんは「あれっ、いない。ねー、三国さん」と私に近寄ってきて、蛍さん達の存在に気が付き目を丸くした。
「……なんで二年と三年? 知り合い?」
「まあ……」
「なんだ、桜井のヤツ、彼女いんのか? 生意気だなアイツ」