ぼくらは群青を探している
二人とも一色西中学の出身。桜井くんは入学したその日に三年生を蹴っ飛ばして舎弟にし、雲雀くんはその次の日にカツアゲしてきた三年生を返り討ちにしてこれまた舎弟にした。当時から二人でつるんでいて、二人が通った後は死屍累々(るいるい)どころかぺんぺん草も生えないほどの焼け野原になる、そんなことからついたあだ名が〝死二神〟。お陰で当時から高校生にさえ恐れられていて、逆に高校生の不良達はこぞって二人を手に入れようと躍起になっていた――敵に回すと厄介だから。
灰桜高校では、群青と書いて「ブルー・フロック」と読む不良が席巻していて、二人を仲間に欲しがっているという意味では、その群青も他のチームと同じ。ただ、二人はどこのチームに入ることも拒んでおり、灰桜高校に入学はしたけれど群青には入っていない……。
「だから、マジであの二人はイケメンだけどマジで見るだけにしたほうがいい。これマジ」
もう何回か話した……というのは黙っておいた。
陽菜は「でもなー、マジで顔がダントツなんだよなー」と後ろを振り向き、これから一年クラスメイトとなる男子達を見ながら残念そうに嘆いた。確かに、あの二人の顔の整い方はクラスで群を抜いている。
「つか、英凜、マジでなんで普通科? お前の成績なら普通に余裕に特別科でいいじゃん」
そういえば、桜井くんと雲雀くんは、なんで私が普通科なのか聞かなかったな。
そんなことを考えてぼんやりしていると、陽菜は「やっぱ、あれが原因?」と声を潜めた。
「その、病気のせいで、特別科の課外授業とかキツイ感じ?」
療養のために三年前に一色市に引っ越してきたのだと、陽菜は知っている。というか、中学生のときに担任の先生がみんなに伝えたので、陽菜に限らず、中学の同級生は知っていてもおかしくない。ちなみに陽菜は「掃除当番キツイときとか言えよ!」と、必要な療養の内容もなにも聞かずに、男前にそれだけを申し出てくれた。ちなみに体が弱いとかではないので「そういうのじゃないから大丈夫」と返事をした。
「……そんな感じ」
「そっかー。ま、逆にいんじゃない、普通科と特別科ってテストも違うらしいし。英凜なら余裕でぶっちぎりの一番じゃん」
「……どうだろ」
「そうじゃない? だって代表挨拶してんだから」
つい、雲雀くんを見た。銀髪と、ピアスでずたずたの耳。人を見た目で判断してはいけないとは言うけれど、あの見た目で頭が良いなんて信じられない。ただ、頭が良いというのは桜井くんが言ってるだけだし、成績表を見せられたわけでもないし、桜井くんによる相対的・主観的な評価の問題かもしれない。とりあえずはそう納得した。
灰桜高校では、群青と書いて「ブルー・フロック」と読む不良が席巻していて、二人を仲間に欲しがっているという意味では、その群青も他のチームと同じ。ただ、二人はどこのチームに入ることも拒んでおり、灰桜高校に入学はしたけれど群青には入っていない……。
「だから、マジであの二人はイケメンだけどマジで見るだけにしたほうがいい。これマジ」
もう何回か話した……というのは黙っておいた。
陽菜は「でもなー、マジで顔がダントツなんだよなー」と後ろを振り向き、これから一年クラスメイトとなる男子達を見ながら残念そうに嘆いた。確かに、あの二人の顔の整い方はクラスで群を抜いている。
「つか、英凜、マジでなんで普通科? お前の成績なら普通に余裕に特別科でいいじゃん」
そういえば、桜井くんと雲雀くんは、なんで私が普通科なのか聞かなかったな。
そんなことを考えてぼんやりしていると、陽菜は「やっぱ、あれが原因?」と声を潜めた。
「その、病気のせいで、特別科の課外授業とかキツイ感じ?」
療養のために三年前に一色市に引っ越してきたのだと、陽菜は知っている。というか、中学生のときに担任の先生がみんなに伝えたので、陽菜に限らず、中学の同級生は知っていてもおかしくない。ちなみに陽菜は「掃除当番キツイときとか言えよ!」と、必要な療養の内容もなにも聞かずに、男前にそれだけを申し出てくれた。ちなみに体が弱いとかではないので「そういうのじゃないから大丈夫」と返事をした。
「……そんな感じ」
「そっかー。ま、逆にいんじゃない、普通科と特別科ってテストも違うらしいし。英凜なら余裕でぶっちぎりの一番じゃん」
「……どうだろ」
「そうじゃない? だって代表挨拶してんだから」
つい、雲雀くんを見た。銀髪と、ピアスでずたずたの耳。人を見た目で判断してはいけないとは言うけれど、あの見た目で頭が良いなんて信じられない。ただ、頭が良いというのは桜井くんが言ってるだけだし、成績表を見せられたわけでもないし、桜井くんによる相対的・主観的な評価の問題かもしれない。とりあえずはそう納得した。