ぼくらは群青を探している
 たった半日で、あの先輩達は随分(ずいぶん)この子を懐かせてしまったらしい。従兄弟のお兄ちゃんと京くんにさえ懐かないのに。浴槽(よくそう)(ふち)に腕と顎を載せながら、ちょっとだけ、安らぎと嬉しさが混ざったような気持ちになった。


「英凜ちゃんは、卒業は?」

「再来年のその次の年だから、まだまだずっと先」

「じゃああと二年は海に行けるな」

「そうだね」


 まだまだ、ずっと先。卒業なんて、ずっと先だ。

 だから、猶予は、まだまだ長い。そう言い訳をしながら、ゆっくりと目を伏せた。




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