白雪姫は寵愛されている

序章



雪、大雪。




そろそろ四月になると言うのに、このタイミングで今年初の雪。そして過去最高積雪量を記録した日。



路肩に座り込んでいた赤髪の男がいた。



遠くから見ても分かる、喧嘩した後の男。唇は切れ、頬は赤く染まり、指には血が付いていた。



傷だらけの男、喧嘩後であろう男…、
そんな人間を構っていられるほど、世の中は甘くない。



道行く人は、男の方を一瞬ちらりと見るが、すぐに知らん顔をして、少し距離を置くように歩いていく。



誰も手を差し出そうとしなかった。




───────…たった一人を除いては。



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