白雪姫は寵愛されている
───────もう少し、少しだけでも怖いオーラに慣れた方がいいですよね。
「白雪、怖い顔してるよ」
「あ…ご、ごめんね」
ズキン、
罪悪感がまた押し寄せる。
ケーキの事も…朱雀の事も。
「…最近楽しそうだね。毎朝早起きして弁当作ってるし。本も何冊か持ってきてる」
朔也くんは本が一人一冊しか借りれないことを知ってる。だからだろう不思議に思っているのは。
「友達…も本が好きで交代で借りてるの…」
友達、なのかは分からない。だけど昴くんから借りているから100%嘘ではない…はず。膝枕の代わりにお昼ご飯のお弁当に変えて借りれるようになった。
「あ、もしかして…お金結構掛かってるかな?」
「それは大丈夫。千雪の友達から毎月お金貰っているし」
貰ったお金は全て朔也くん行き。
食材分は引いてるけど。
最初は全員一口ずつだったお弁当。
それがいつの間にか重箱へと変わってしまった。
仁くんが…他の人の分も食べちゃうから。
毎回涙目だった颯太くんと、溜息を吐く難波先輩。仁くんの胸ぐらを掴む昴くんを見ていたら…こうなりますよね。
「友達って本当に女の子?」
突然の質問にドキッとした。
心の中のばくばくを隠しながら笑顔を作る。
「ほんとうだよ」
「その割に弁当でかなり肉を使ってない?」
「それは…お肉の方が好きな子がいて」
「好き…ね。女五人で重箱完食出来るんだ?」
ああ、また…私。
「うん。食べれるよ」
朔也くんに嘘をつくんだ。