白雪姫は寵愛されている


「み…みんな朔也くんの事好きになるから、だから嫌で…!」



突然思い付いたような言葉だった。
これ以上歩けばその先には大きく鋭い破片。


下を見ず私を見ている朔也くん。

このままじゃ刺さると思った。だから。



「………嫌…って本当?」



目を大きく見開いている。
そんな朔也くんに私は大きく頷く。


嘘は言っていない。
だって朔也くんは格好いい。優しくて頼りになる人。

女の子なら誰だって惚れるに決まってる。


口元を抑える朔也くんの顔が桃色に染まる。


……もしかして、



「ご、ごめんなさい。えっと…変な事言って、」



気持ち悪いって思ったのかも。朔也くんはお兄ちゃんで私は妹。その妹に”嫌”だからって言うのは流石に嫌だったのかも。



「───────白雪、」



朔也くんが私を抱きしめた。


< 103 / 147 >

この作品をシェア

pagetop