白雪姫は寵愛されている



「……ッ、それ本気?」





その声は私には聞こえなかった。


「朔也くん?…お、重いよ…」


突然体重がかかる。
重過ぎるわけではないけど、流石に重い。


───────っ、?


部屋着のTシャツ。随分着続けているからか、首元が大分緩くなってきた。


そこを、引っ張られた。


鎖骨に顔を埋める朔也くんの吐息が掛かる───────、



「痛ッ…!」



噛みつかれた。
一瞬の出来事だった。

だけど、凄く痛かった。



「はは…ごめん。痛かった?」

「っ?…??、」

「甘噛みだよ」



笑顔で頭を撫でてくる朔也くんと、状況整理が追い付かない私。



「大丈夫。白雪が成人するまでって決めてるから…それまで俺、ちゃんと我慢出来るよ。四年なんて…あっという間だから」



そう言って私の額にキスをした。






───────シャワーの音が響く。



「……なに…これ…?」


お風呂場の鏡。
右肩を見て驚愕する。


「…歯型?」


鎖骨についているくっきりと残る痕。それを見なかったことにして私はお風呂に浸かった。



< 105 / 136 >

この作品をシェア

pagetop