白雪姫は寵愛されている


──────土曜日。

私は今大きな屋敷の前に居る。



「…い、いえ?」

「千雪、荷物よこせ。持つから」

「チッ…慶、ライター貸してください」

「たくっ…めんどくせ」



唖然とする私にお構いなくの三人は普段通り。あまりの凄さに着ていたスカートをぎゅっと握る。


い、家って…ここってお家なんですか…?


人よりも大きな門が自動で開いた。
先にいたのは白いリムジン。

その窓が開くと、中に居たのは颯太くん。



「お待たせっす!」



言ったと同時にどこから出てきたのか、紳士服のような恰好をしたおじいさんが、車から私達の所まで赤いカーペットを敷く。そして一瞬で退散。



「えっと…?」



この上って歩いちゃ駄目ですよね…?
だって、凄く綺麗なカーペットだし。


「千雪、何してんだ?」

「…え?」


カーペットの隣を歩こうとした私の手を引かれた。
仁くんが不思議そうに私の顔を覗いてる。


え、えっと…?



「はは、もしかしてこの上を歩いて駄目だと思いました?」

「えっと…綺麗なカーペットだったので…、」



こんな綺麗な物、汚すわけにはいかないし…。


そう言うと、三人は笑った。
それにビクリと身体を揺らす。



「フハッ!やっぱ、千雪ちゃん可愛いわ!」


「ハハハ!千雪さん、このカーペットはその為にあるんですよ?」


「フッ…千雪は可愛いな」



え?え、え??



「ちょっとー!何話してんだー!早く!行くっすよー!!」



叫んだ颯太くんが手招きしてる。



「だ、そうだ。行くぞ千雪」

「え?でも…ひゃ!?」



また抱きかかえられた。



「これなら汚れないだろ?」と耳元で囁かれる。
きゅんとして顔が真っ赤になっていく。



「あ、ある…きます…!」


「仁、僕にもさせてください」


「…駄目に決まってんだろ」


「はぁー…、笑い過ぎて腹いて~…」



私の話…聞いてください…!


結局私は車に乗せられるまでそのままだった。


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