白雪姫は寵愛されている
凄く…私の居ていい場所じゃない気がします。
ごくりと生唾を飲み込んだ。吃驚しすぎて言葉が出なかったから。
私の目の前に広がるのは、
───────海
自然豊かな海そのもの。
海の砂のサラサラ感とヤシの木が沢山。波の音だけじゃなくウェーブプールのように定期的に波が打ち寄せる。熱くなく寒くない空気と潮の匂い。
……ふふ、こんな事朔也くんに言っても信じてくれないんだろうなぁ。
………でもまさか、本当に”俺ん家”だったとは。
颯太くんが凄くお金持ちだと初めて知りました。
「千雪?」
名前を呼ばれ振り返り、後退り。
「……ッ!?」
パーカーの上から分かる割れた腹筋に、髪を掻き上げる仕草をする仁くんがいる。制服、私服の時とは全く違う…、まるで別人みたいに、凄く格好いい仁くんがいたから。
「どうした?顔が赤いな?」
「な、何でもありません…!」
かっこよくて、ドキドキしてしまう。
お願いだから近づかないでください…!
「千雪ちゃん?どうした?」
「ふえっ!?」
顔を逸らした先には難波先輩。
短い髪をまとめて1つに結び、結びきれなかった髪を耳に掛けている。
いつもより、顔が良く見えてドキッとする。
「千雪さん何か探しものですか?」
「ひやぁ!?」
またも逸らした先に誰かが。
そこには昴くんがいた。
半そでシャツの、アロハシャツを羽織っている昴くん。左の髪を編み込んでるらしく、顔が良く見えた。それに今はコンタクトなのか、カッコいい顔がさらにカッコ良くなってる。
に…逃げ道が、ありませんっ…!