白雪姫は寵愛されている

「おーい！白藤ぃ！」


「ひえ…！」



そんな…、颯太くんもかっこいいなんて聞いていませんっ…！




カチューシャのようなものでオールバックにした颯太くんが大きく手を振り、走ってきた。可愛い系だと思っていたけど、やっぱり彼もかっこいいには変わりないらしい。


四方八方、キラキラしていて心臓が痛いです…。



「ん？どうした白藤？」


「…ううぅ…」



目のやり場がありません。

やっぱり私が居ていい場所じゃないんです…。


そう思ってた時に手を掴まれた。



「ってか！いつまで服着てんだよー！」

「い、いや…だって！私あんな高い水着…着れません…！」

「何言ってんだよー！じゃあどうやって入るんだよ！」

「わ、私みたいなのが来ていい場所じゃないんですー！」

「まーた！わけわかんねーことをー！！」

「ふええええ…！」



引きずられるように連れてこられたのは、さっきも見た高級ブランドの水着が並ぶ部屋。


水着の無い私に、颯太くんが準備してくれるって言ってくれたのはこの間。新しく買うには朔也くんを通さないといけないし…きっと変な風に思われてしまう。

だからお言葉に甘えてお願いをした。

お金を渡す代わりに颯太くんの夢の大きなバケツプリンを作る約束で。


私はてっきり、どこかの安いお店の物だと思っていた。


でも不思議に思うべきだった。どうして男性であるはずの颯太くんが水着を用意できるのかと言う事を…。



実際見てみたら、予想とは違ってたのだ。



ゼロが一個…二個、三個と多い。



ブランドに疎い私でも分かる。このロゴは見たことあるもの…有名なものばっかりだったから。



「これなんていいんじゃね？」



颯太くんの出したのは黒のビキニ。おへそまで隠れそうな、ハイウエストタイプな物。



「む…無理です…！」



デザインや露出の少なさよりも確認したのは…水着にぷらーんと出てる値段のタグだった。


た、たかすぎます…！



「千雪、これはどうだ？」



いつから居たのか、仁くんが手に持っているのは白のオフショルビキニ。露出が少なくて可愛い系な感じ。



「…だ、だめです…」



値段が…！