白雪姫は寵愛されている
「いち、
にー、
さ…」
「ぷ、はぁっ…!!」
思いっきり顔を上げた。
な…中々頑張れました!
多分10秒丁度です…!
「……千雪ちゃん、まだ三秒も経ってない」
「え?…え!?…そんな…!」
気持ちは10秒だった。
丁度ぴったり、10秒…のはずだった。
ショックを受ける私と、悩む難波先輩。
「…とりあえず、水に顔つけて進むか」
顔をつけて…進む?
今度は両手。私の手を握ってくれた。
どうやら引っ張ってくれるみたい。
「あ、あの…手は離さないでください…」
「ん?あぁ。大丈夫だって。離さねーから」
その言葉に安心して顔をつける。
何度か顔を上げたけど、先輩は上げるたびに「その調子」と笑ってくれた。
息が保てるようになってきたのは大分経ってから。さっきよりも泳いでるって感じがする。
泳げて…ますっ!
始めて泳ぐ事に成功(?)
興奮が止まらない。
「……そろそろいいか」
その後に離れていく手────。
…っっ!?