白雪姫は寵愛されている


「っー…あ…ありがとう、ございます…」



鼓動が早い。
ドクンドクンと音がしてる。



「…あ、あの…そろそろ…」



離れたくて言った。


だって、仁くんに聞こえてしまいそう。
五月蝿いこの音が全部、聞こえちゃう…。


でも中々離れない。
背中に回された手が取れない。



「は、離して下さ…きゃあ!!?」



離されるどころか、抱き上げられた。
仁くんの腕に、座っているみたいになる。



「っっ…?」



いつもは見上げてるのに、今は仁くんが私を見上げてる。


…格好いいです。


上から見ても、下から見てもどこから見ても綺麗だなんて…


ずるい───────、




「千雪はずるいな」


「え…?」


「どこから見ても綺麗だから」


「────っ、!」




そんなことない。
綺麗なわけ…ない、です。


お世辞です。そんな事、分かって…。



同じことを考えていた。
私の事を綺麗だって言ってくれた。




ドキ…ドキッ…、




分かっているのに、どうしてこんなに嬉しく感じるの?



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