白雪姫は寵愛されている


あり得ませんっ…!


両手で顔を素早く覆った。
隙間から見えないぐらいしっかりと。


きっと慣れない状態だから。そんな事を考えてしまうんです…!



「なんで顔隠す?」


「も、もう降ろしてください…!」



触れられている手も。
私にだけ優しい声も。

全部いつもと違う事をしているから。


こんなドキドキして。


こんな風に────、顔が赤くなってしまうんです。




「俺はこの角度から…もっと千雪の顔を見たい」

「そっ、そんなの無理です…!」




そんな事言わないでください。また変にドキッと心臓が鳴ったじゃないですか。



「見せる気ないのか。…そうか。なら俺にも考えがある」



か、んがえ…?




チャプ────、



水の音がした。



…何故か進んでいる気がするのは気のせい?
指だけずらして何が起こってるのかを把握する。




「っ────…!」




私を抱えた状態で、海に入ろうとしている最中だった。



「じじじ、仁くん待ってくださ!!」



これは、仁くんの思うつぼ。
覆っていた手を離すことになる。




「やっと見た」





唇を緩める仁くん。



っっ…、反則です。



どうしてそんな顔をするんだろう。
私だけ…特別みたいで────、



ジャプッ!




「ひっ、やぁ!」




水が掛かり、仁くんの首に思いっきり抱き着いた。

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