白雪姫は寵愛されている

「……っ、」


「顔赤いな」



赤くならない人はきっといない。
仁くんの顔がこんなに近いんだから。


だけど…仁くんは赤くならないんですね。



私だけ真っ赤で。
仁くんはいつもと変わらない。


っ…、慣れて、いるって事ですか…?



ズキッ、



さっきまで弾んでいたはずの心臓が。
どうしてこんなにも…、

痛くなってしまうんだろう。



「…なんで泣いてんだ」



私、泣いてるんですか…?



「そんなに俺に近づかれるのが嫌か?」


「ちが…います…」


「ならなんで泣く…」



…自分でもよく、分かりません。


分かっていれば何か変わるんでしょうか?
ただ…ズキズキするのはきっと─────、




「…仁くんが…他の女性と、こんな事をしていると…思うと…」




心が痛い。

考えただけなはずなのに。


ズキズキして。どうしたらいいのか…。



「……嫌です…、」



こんな事ばかり言って困らせて…。

もし仁くんに嫌われたら…どうしたらいいんだろう。




「───────馬鹿だな、」




ば…馬鹿ですか…、


ちょっぴりショックを受けたのは秘密。




「それで泣いたのか」




そ、そうみたいですね。
無自覚でしたけれど…。


……そうですよね。変な事言ってしまいましたよね…。



「っっ…!?」



目尻に指じゃない、何か別の感触がした。



……へっ…?



い、今…な、舐められ…??




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