白雪姫は寵愛されている
楽しいはずなのに、どうしてモヤモヤするんだろう?
「白雪、見える?」
水上パレード。音楽と光に合わせて踊るキャラクターとダンサー。誰もが釘付けになるそこで、朔也くんは私ばかり見ていた。
「うん。見えるよ」
良かった、という朔也くんと握る手を握り返していない私。
パシャ、
シャッター音が私の前でした。
「へっ…?」
向けられたスマホはパレード先じゃなく、私に向けて。
「白雪、可愛いね」
「…っ!か、勝手に撮らないで…!」
撮るならパレードでしょう?
どうして私を撮るの!
「白雪が可愛いのが悪いんだよ」
「可愛くないです…」
───────パシャッ!
「っっ…!?」
「可愛いね、白雪」
もうっ…!
朔也くんの手を引っ張ってパレードの列から抜けた。
「どうしたの?」
「…携帯よりばかり見ないで」
多分ジッとしているから携帯触っちゃうんだ。
だから乗り物に連れ出すことにする。
「うん……そうだね」
そう言って朔也くんは私の手を強く握った。