白雪姫は寵愛されている
夏に比べたら大分日が短くなった。
まだ18時だけど、大分辺りは暗い。
パークの街灯も点き始めてる。
…もうこんな時間。
楽しかった。
時間が過ぎるのも一瞬だった。
「朔也くん、帰ろう?」
明日は月曜日。
朔也くんは会社で私は学校。
…それに、朔也くんは最近ずっと休日出勤だったから。しっかり休ませてあげたい。
「俺の心配してる?」
私の顔を覗き込む朔也くん。
こくん、と頷く。
そんな私の頭に朔也くんの手が乗った。ポンポンと優しく撫でられた。
「白雪は本当…優しくて可愛いね」
肩を抱き寄せられ体が密着する。
「っ、朔也くん」
身体を押し返した。
だけどそう簡単には動かない。
「ねぇ、白雪。あれ乗ろ」
…あれ?
朔也くんが指さした方向には、大きな観覧車。
入園前にも大きいと感じたあの観覧車である。
「あれで最後にしよ?」
あ、あれを最後に…乗るの…?
ごくりと生唾を飲んだ。
「いいよね?白雪、」
そんな笑顔で。
そんな風に言うなんて。
「い、いいよ…、」
はい、以外言わせてもらえないみたい。