白雪姫は寵愛されている
でも朔也くんはニコニコで。
「ごめんね。無理」
「───────ッ!?」
立ち上がる朔也くんにガクンと揺れた。
「ひ…っ…!」
一歩足を出す朔也くんを見るなり、直ぐに目を強く瞑った。
揺れるゴンドラ。
怖くて涙が出そう。
「…白雪、こっち向いて」
声が隣からする。
目を開けると、隣に朔也くんがいた。
震えている私の体を抱き寄せた。
「ごめん。こんなに怖がるとは思ってなかったんだ」
「っ、もう…大丈夫…」
「ううん、まだ震えてる」
力強い。離れたくても揺れてしまいそうで…。
「さ、朔也くん…離し、」
「白雪、外凄いよ?」
話しを逸らされた気がした。
…そ、そと?
「み、見れない…よ…」
怖くて見れそうにない。
さっきもどれほど怖かったか。
「大丈夫。俺がずっとこうしてるから。見て御覧?」
言われるがまま、ゆっくりと目を開け、外の方に視線を移す。
──────ッ、わぁ。
「きれい…!」
乗り物、パークの建物、全てがライトアップされていた。色とりどりに光るライトが凄く綺麗。
「ね?言ったでしょ?凄いって」
「う、うん…!」
凄い!水も光ってる!
お城も目の前の噴水も凄く綺麗!
上から見ると少し違った感じがして特別な気分になる。
「本当に綺麗だね。ずっと見ていたいぐらい」
「……うん。そうだね。俺もずっと、白雪とこうやって、」
ぎゅっと強く抱きしめられていて。
それは両隣のゴンドラからは見えていて。
「さ、朔也くん…着くから…」
私は凄く恥ずかしい気持ちになった。
押し返せない強い力で離れることが出来ない。
「白雪。大好きだよ」
耳元で囁かれる。
「俺がずっと白雪を守るよ。今までもこれからもずっと」
私を最優先にしてくれる朔也くんに胸が痛くなる。
朔也くん。私16歳になったんだよ?
まだ未成年だけど、自分の事は自分で出来るようになったの。
だからもう───────…、
守るなんて言わないで。
もう守られるだけの私じゃないよ。