白雪姫は寵愛されている


別人の事だと思う。…でもさっきの傘は紛れもなく私の物だった。それならどうしてそんな事を言うのか。


お世辞なのか、ふざけて言っているのか。
私には全く分からなかった。


難波先輩はテーブルを挟んで前のソファーに腰を下ろした。

そして、「あっ」と声を出す。



「そういや、名前言ってないよな?俺は…、」


「えっと…難波慶先輩、ですよね?…知っています」


「…俺の事は?」


「や、八神仁先輩です」



よく知っている。先輩達の話を聞かない日はないもの。それなら興味が無くても自然と覚えてしまう。

クラス中…学校中が先輩達の話をしてる。
他の幹部の事も参謀もそれで名前を覚えた。


…名前と顔はあまり合致していないけれど。

関わる事が無いからと思っていたので…その心配は無いと、思っていた…んですけれど…。この状況は…正直訳を聞いても分かりません…。


難波先輩は笑うと「好きに呼べ」と言った。
そして寝転ぶ。隣の八神先輩は雑誌を見始めた。



わ、わたしは何をしたら…?



「あ、あの…ここに居るのは邪魔ではないですか…?」



何もすることもなさそうですし。
むしろ、邪魔なだけじゃないでしょうか…。


「俺から離れたいのか?」

「そ、そういう事ではなくて…」

「何が言いたい」




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