白雪姫は寵愛されている
どうして引き留められるの…?
「わ、わたし…ここにいても…何も出来ません…から、」
誇れるものなんて何も無い。
消極的だからじゃない。
ただ…本当の事だから…。
先輩達にとって私は、マイナスな事しかないはずです。
「何もしなくていい。俺の傍に居ればそれでいい」
その言葉に一瞬ドキッとした。
八神先輩のその格好いい顔で、真剣な眼差しで言われたら、きっと誰もが鳴ると思う。
「っ…わ、わたし喧嘩出来ません…から…」
「喧嘩なんてする必要ない。俺が守る」
「ば…バイクにも乗れません……」
「乗る必要ない。車がある」
「ちょ、諜報員…とか、そんな事も出来ませんし…ね、ネットにも疎いです…よ…?」
「担当がいるから心配しなくていい。言っただろ。俺の傍にいるだけでいい」
「えっと……、」
私の言った事は本当の事で、間違った事は言っていない。
それなのに…全て即答されてしまった。
マイナスしかないのに、心配するなと。
…っ、どうして、そこまでして…。
沢山言った。反論しようとしたけど、無理だった。
さ、流石に…もう、思いつきません…!
「残念。ネタ切れみたいだ」
難波先輩が笑う。
「それ以外何も無いなら、ここに居てもいいだろ。千雪は黙って俺の傍にいればいい。離れるな」
そう言って、八神先輩は優しく笑った。