白雪姫は寵愛されている
不安だけが募る。なんとなく、想像つく明日からの自分に溜息が出た。
………大丈夫。”今回は”友達いないから。きっとそんなに辛くない、はず。
「白雪」
「ひゃ!?」
突然、耳元で聞こえた声に吃驚。
飛び跳ねた拍子にバッグを落とす。
慌てて振り返ると、私のよく知る黒髪スーツの男性。
「っっ…!
さ…朔也くん!」
兄、朔也くんの姿があった。
朔也くんは「悪い悪い」と言いながら、落ちたバッグを拾い、持ってくれた。
「自分で持てるよ…!」
差し出した手に朔也くんは笑って違う物を渡してくる。
バッグとは違う、軽い物。
「じゃあ、代わりにこっち持って?」
渡されたのは、有名菓子店の紙袋だった。
チラッと中身を見てみると、そこには菓子折の他にもう一つ。どう見てもお店では付けてくれないであろう、可愛らしいピンク色のお手紙。
「また、貰ったの?」
そう言うと、朔也くんは一瞬キョトンとした後で笑顔に戻る。
「ああ、偶然手に入ったらしい。後で一緒に食べようね」
ニコッと笑う。
妹じゃなかったら絶対ノックアウトされてると思う。それぐらい兄は顔が凄く綺麗。