白雪姫は寵愛されている


不安だけが募る。なんとなく、想像つく明日からの自分に溜息が出た。

………大丈夫。”今回は”友達いないから。きっとそんなに辛くない、はず。


白雪(シラユキ)


「ひゃ!?」



突然、耳元で聞こえた声に吃驚。
飛び跳ねた拍子にバッグを落とす。

慌てて振り返ると、私のよく知る黒髪スーツの男性。



「っっ…!

さ…朔也(サクヤ)くん!」



兄、朔也くんの姿があった。

朔也くんは「悪い悪い」と言いながら、落ちたバッグを拾い、持ってくれた。


「自分で持てるよ…!」


差し出した手に朔也くんは笑って違う物を渡してくる。

バッグとは違う、軽い物。



「じゃあ、代わりにこっち持って?」



渡されたのは、有名菓子店の紙袋だった。

チラッと中身を見てみると、そこには菓子折の他にもう一つ。どう見てもお店では付けてくれないであろう、可愛らしいピンク色のお手紙。


「また、貰ったの?」


そう言うと、朔也くんは一瞬キョトンとした後で笑顔に戻る。



「ああ、偶然手に入ったらしい。後で一緒に食べようね」



ニコッと笑う。

妹じゃなかったら絶対ノックアウトされてると思う。それぐらい兄は顔が凄く綺麗。



< 21 / 96 >

この作品をシェア

pagetop